植物は、植物に育ててもらう。


 自然界では、当然のことながら、植物は肥料など与えられずとも元気にすくすくと生長します。生長した植物は、やがて種を実らせ、次の世代へ命のバトンを渡したあと、枯れて土の中で微生物に分解され、次の命を育てるための養分となります。自然界では、(微生物の力を借りて)植物が植物を育てているのです。

 

 私達の土づくりは、この自然の完成された素晴らしいシステムに学び、肥料に緑肥をもちいることにしました。緑肥とは、その土地の土に養分を与えたり、土中の有用な微生物を増やしたり、逆に有害な病害虫を減らしたりする目的で栽培される作物のことで、実にさまざまな種類のものがあります。

 

 らっちゃこでは、土中の微生物の活動を活発化させ、その中でもとくに根粒菌を増やす目的で主に大豆を緑肥として育てています。根粒菌とはマメ科の植物を好んで共生する菌で、空気中の窒素を土中に固定することで土地の養分を増やすことができます。

 

 同じ畑でメロンのみを育てていると、土の中では、メロンを好む微生物のみが繁殖し、それ以外の微生物の数や種類が減ってしまいます。そのような、微生物相が偏った土では、自然のバランスが崩れ、何かのきっかけで特定の病原菌が大量発生しやすくなってしまいます。らっちゃこでは、メロンと緑肥で輪作体系を組むことで、土を休ませ、土壌中の微生物相の偏りを抑えることで、自然の状態に近い、健康な土をつくっています。

 

 緑肥の研究はまだまだ発展途上で、らっちゃこでも試行錯誤の毎日です。今後さらにさまざまな緑肥を試しながら地力をより高め、かつ周囲の環境と調和できる土づくりをおこなっていきたいと思っています。