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今年も、やっぱりアライグマがハウスへやってきた。
彼らのメロンを見る眼は確かで、本当に出来の良い、ほどよく熟した実を選んで、食べる。
正直、痛い。
毎晩、ひっそりとやってきて、美味しいメロンをお腹いっぱい食べて、森に帰っていく。
無農薬でつくっているので、他にも毛虫や青虫やコオロギが次々にメロンをかじりにやってくる。やられた実は売り物にならないので、これも、痛い。
でも、以前ほどダメにされたメロンを見てもあまりショックを受けなくなってきた。
北海道の大自然に囲まれた森の中で、しかも無農薬で農業をやっているのだから、これくらいはしょうがない、と思えるようになってきた。
ウイスキーなどのお酒が、樽で熟成中に水分・アルコール分が少しずつ蒸発し、最終的な製造量が目減りしてしまうことを、「天使のわけまえ」というらしい。
なかなか粋な、いい言葉だ。
だから私も、自然豊かな森の中で農業をしている以上、少しくらい動物や虫にメロンが食べられるのは、いわば「森のわけまえ」ともいうべきものと考えて、鷹揚にかまえることに、した。
まあ、それでも、やっぱり痛いんだけど。
今年のメロンの収穫もいよいよ終盤、アライグマに食べられるのが早いか、メロンが完熟して収穫するのが早いか、競争が続く。