自然農薬って?

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 畑で発生する病気や害虫をなんとかしたいけど、化学農薬は使いたくない! そんなときに活躍するのが自然農薬です。

 

 自然農薬とは、作物の病気や害虫を予防、退治するために使用されるさまざまな天然素材のことです。代表的なものに、草木灰や木酢液、ニンニク・トウガラシ液などがあります。自然農薬とは俗称であり、法律で定義されたものではなく、自然農薬が謳う効果にも明確な科学的根拠がないものが多いです。作物の病気や害虫に困った農家がある素材を畑で試しに使ってみたところ、病気や害虫が減ったように感じた、よし、これは自然農薬だ!といったようにして発見され、普及してきた、いわば民間療法のようなものです。

 

 自然農薬には、近代農業がはじまる以前より使用されてきた歴史あるものもあれば、最近になって研究熱心な農家が独自に実験して見つけた新しいものまであり、じつに多種多様です。歴史のあるものは当然使用実績も多く、謳われる効果も信憑性が高いものが多いのですが、新しく発見されたものは、まだ使用例も少なく、確認された効果が本当にその自然農薬によって生まれたものなのかどうか、疑わしいものもあります。

 

 自然農薬は、化学農薬のように直接病原菌や害虫を殺すものはあまりなく、病原菌が増えにくい環境をつくったり、害虫が忌避する臭いなどをつけて大量発生を抑えるような効果であるものがほとんどです。化学農薬のような劇的な効果はない分、病原菌や害虫がその農薬への耐性や抵抗性をつけにくいという長所があります。また、自然農薬には、使用することで植物そのものを健康にし、丈夫に育つのを助ける効果があるものも多いので、それらを使用することで作物の出来をよくすることもできます。

 

 代表的な自然農薬をいくつか紹介すると、草木灰は、撒くと灰がかかった部分がアルカリになるので、病原菌が繁殖しにくくなり、また灰の臭いが火を連想させるためか害虫も寄ってこなくなるといわれています。トウガラシの抽出液も、やはりその強烈な臭いと辛味を嫌って害虫が寄ってこなくなるといわれていますし、ニンニクの抽出液は、その殺菌作用から病原菌の繁殖を抑える効果があるといわれています。希釈した木酢液には、臭いで害虫を忌避させる効果があるとともに、作物自体を丈夫にし、病気になりにくくする効果もあるといわれています。

 

 本来、植物が自らにそなわっている生命力をしっかりと発揮することができれば病気や害虫に簡単に負けたりはしないのですが、人間の手が入った畑では、どうしても自然のバランスが崩れ、病害虫が発生してしまうことがあります。そんなとき、農業の長い歴史の中で培われてきた知恵と経験から生まれたさまざまな自然農薬の力を借りてみるのもひとつの手かもしれません。